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診療内容 >整形外科一般 >交通事故

以下には、事故にあわれた場合の自賠責保険の役割が書かれております。被害に合われた方のお役に立てば幸いです。

被害者としてどのような保険を使ったらよいのでしょうか?

例えば車で通勤中に事故でケガをした場合を考えますと
①自賠責保険
②任意保険
③通勤労災保険
④健康保険
⑤人身障害保険
と保険の名のつくものがたくさん登場してきます。このように我々は保険というものに二重三重にガードされているのです。
事故の状況(責任割合)によっても変ってきますが、まずは任意保険を使うのが患者さんにとって便利です。その理由は治療費だけでなく休業損害や慰謝料、通院交通費、義肢装具費等保証を受けることができ、補償内容として有利な点が多いからです。 医療機関としても被害者治療という立場により患者さんのニーズを尊重した治療をすることになります。

 

任意保険による「交通事故治療費の一括払」とは

ほとんどの整形外科では「交通事故治療費の一括払」ということで、患者さんの治療費を損保会社へ請求しています。 この「交通事故治療費の一括払」の基本的なルールを決めるために先に述べた「新潟県交通事故医療連絡協議会」というものが存在しています。
ところで自賠責保険は何のためにあるのでしょうか?事故処理の時には警察は車検証と自賠責保険を確認します。でも治療費等の補償においては自賠責保険の会社は登場してきませんね。 しかし、どんな人身事故でも自賠責保険は見えないところで活躍しているのです。我々の目には見えなくとも、実際は交通事故のすべての治療費はまず自賠責保険から支払われています。 つまり任意保険が自賠責保険の治療費等の補償限度である120万円までを立て替えているだけなのです。あくまで立て替えですから後で自賠責保険へ請求して取り戻します。 ですから120万円までの治療費等の補償は任意保険は負担する必要がないのです。このように自賠責保険の負担分も一括して任意保険が立て替えることから「交通事故治療費の一括払」と呼ばれています。

 

自賠責保険(=強制保険)は相互扶助の精神

海外では車検制度のない国もありますが、日本においては車検とセットで強制的に自賠責保険に加入しています。 自賠責保険の主たる目的は車社会においては事故によるケガは付き物であるということから、まずケガをした人を救済するということなのです。ですから自賠責保険では原則としてケガをした人の過失は問わないこととし、100%の過失がない限り治療費等の補償をしてくれます。
また重大な過失(おおむね70%以上の過失)があったとしても治療費等は20%までしか減額されません。さらには加害者との交渉が難航しても、自賠責保険 には「被害者請求」という制度があり、加害者はこれを否定することはできません。このように自賠責保険は相互扶助の精神の保険制度です。

 

ケガをしたけど、自分の方の過失が大きい場合

ほとんどの交通事故には過失割合(=民事交通事故訴訟における過失相殺)というものを保険会社が持ち出します。物損事故についてはこの過失割合により損害を補填し合うことになります。 ところが治療費等については、過失割合が大きい場合には相手の損害保険会社は任意保険の対応を全くしてくれません。先に述べたように相互扶助の自賠責保険というものが基本的に存在するのに、 過失が大きい被害者には「交通事故治療費の一括払」の取り扱いをしてくれないのです。又、双方が青信号を主張したりした場合など、警察も白黒つけられないケースも実際にあります。 当院ではこのような場合には自賠責保険の「受任請求」という方法で患者さんが治療に専念できる経済的・精神的サポートをしています。

自賠責保険の治療費の「受任請求」(=代理請求)とは

自分の過失が大きくても自賠責保険では殆どの場合、治療費・休業損害・慰謝料の補償が認められます。当院では患者さんになるべくご負担のないよう に、必要書類へのアドバイスもさせて頂き、患者さんに代わって相手車両への自賠責保険へ治療費を請求しています。 ケガをした人に代わって治療費を相手の自賠責へ請求することを「受任請求」といいます。相手側の自賠責は「受任請求」を拒否することは出来ません。120 万円という補償限度額はありますが、補償内容は任意保険と全く変わりありませし、治療費が認められれば、連動して患者さんへ慰謝料も支払いされますので患 者さんにも喜ばれています。

 

「人身傷害保険」の問題点

「人身傷害保険」は新しく出来た任意保険制度で、自分に過失が大きい場合でも補償するという自分の為の保険ですが、任意保険の特約ですのでその分、保険料が高くなってしまいます。
どの車にもまず相互扶助の自賠責保険がありますので、はっきり言って「人身傷害保険」の必要性は極めて低いと思われます。さらには「人身傷害保険」では約 款に公的保険(=健康保険)を使うことが小さく記載されており、事故の任意保険であるにもかかわらず、しばしば損害保険の担当者から健康保険の使用を強要 されてトラブルになるケースも見受けられます。 「人身傷害保険」も任意保険と同じく120万円までの治療費等の補償は立て替えているだけで、後で自賠責保険へ請求して取り戻します。患者さんが別に負担 している健康保険を使うことは理屈に合いません。このようなことから当院では自賠責が使える場合には、原則として損害保険会社から依頼があっても「人身傷 害保険」の引き受けは特別な場合*を除いてお断りしています。

*特別な場合とは

 ・加害者が判明しない場合(ひき逃げ、当て逃げ)

 ・無保険車両による場合

 ・任意保険未加入で自賠責保険の範囲での支払いを明らかに超える場合

 ・加害者の損害補償能力が低い場合

  など

交通事故で健康保険を使う場合のデメリット

*基本的に健保のルールに乗っ取った対応になります

①治療の都度、窓口で一部負担金の支払い(1~3割)が必要(あとで患者さん本人が加害者あるいは保険会社に請求する)。

②症状固定の概念は存在しないこと、医療機関側に自賠責様式の診断書を記載する義務はないため、後遺障害が残っても、損害賠償の請求ができなくなることがあります。

③検査、治療、薬などに制限があるために十分な治療を受けられない場合があります。(自賠責診療費算定基準では、特掲事項として補う仕組みになっています)

④自分の健康保険組合に「第3者行為届」を提出していただく必要があります。

健康保険を使うメリット

・医療費自体は安くなるため、被害者の過失割合が多い場合や、自賠責保険の範囲で治療が収まらない場合には負担が減ることもあります。

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